F1アゼルバイジャンGPのバクー市街地コースは市街地コース随一の最高速度を誇っています

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F1アゼルバイジャンGPが行われるバクー市街地コースは近年のF1開催サーキットの設計を行っているティルケ事務所が担当しており、開催コースの長さでは2番めの長さの約6kmを周回します。
設計者のティルケは世界最速の市街地コースになるだろうと語っていて、平均速度211km/h、最高速度340km/hと予測されていましたが、初回、まだヨーロッパGPと呼ばれていた回の予選のときにウィリアムズのボッタス選手がF1史上最速記録の378km/hを叩き出しています。最も低速となる第4コーナーが100km/h未満になるなど、高速と低速が入り乱れるコース構成となっています。

クラッシュ必死の波乱のレース展開

F1アゼルバイジャンGPは初開催では7台がリタイヤ、その次の年にも同じく7台がリタイヤするなど、幾度となく波乱のレース展開が行われています。その理由として、市街地コース全般に言える問題ですが、もしコースから外れそうになってもマシンが安全に停止することができるランオフエリアがないことが挙げられます。
また、コースのすぐ横が鉄製のガードレールやコンクリートなどのため、僅かな接触でもマシンが大きなダメージを負ってしまう点や、セクター3のロングストレートが長いことからそれまで温まっていたタイヤとブレーキから熱が奪われ、グリップと制動力が失われる点があります。
また、シーズンが早い時期に行われるため路面の温度も低く、常にシビアなタイヤの温度管理が求められます。

試されるチームごとのセットアップ

F1アゼルバイジャンGPのバクー市街地コースは直角コーナーや狭く曲がりくねった区間などテクニカルなセクターがある一方、1.5kmというロングストレートも兼ね備えており、非常にメカニック泣かせのコースと言えます。
初開催のときはほとんどのチームがテクニカルなコーナーに対応するためダウンフォース量の多いパッケージでレースに挑んでいましたが、翌年以降はテクニカルでスピードを落としてもストレートでトップスピードを出したほうが有利になると考えるようになり、ダウンフォース量の少ないパッケージに切り替えられています。そのため、皮肉なことにストレートに到達したときにスピードが乗っていないので最高速度が初回ほど出せないということになりました。
現在ではモンツァ仕様の特別ウイングとまでは行きませんが、ある程度高速走行向けのダウンフォースを取るところが多くなっています。