アゼルバイジャンでのF1、セーフティーカーを使った駆け引きも
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アゼルバイジャンでのF1レースは初年度こそセーフティーカーは出なかったものの、2回目以降からはどのレースでもセーフティーカーが出動し荒れるレース展開になっています。
セーフティーカーが出動した場合は全車が数珠つなぎになりペースも極端に落ちますので、これを機にピットインを図る作戦が通用します。たとえピットインしても低速で車間距離のない状態だと、セーフティーカーが退場した後に抜くことができるチャンスが生まれます。
ただし、第4戦の本戦では、前日までのサポートレースで通算6回のセーフティーカー出動によって、多くのチームが荒れるとした予想が全く逆のものになり、ピットインを狙っていたレッドブルホンダのフェルスタッペンは4位に終わりました。

新システムのバーチャルセーフティーカーが明暗を分けたF1アゼルバイジャン第4戦

アゼルバイジャン第4戦ではセーフティーカーが出動しそうになる場面がありましたが、運営側の判断で2014年のF1日本戦での教訓により新たに導入されたバーチャルセーフティカーの発動にとどまりました。
名前だけ聞くと同じもののように聞こえますが、システムは発動された際にその場で各車が減速を行い、タイヤ交換以外ではピットに入れず、発動中もレース周回としてカウントされるというものです。そのため車間距離が一定に保たれ、ピットインは大きななデメリットとなります。
第4戦でのホーナー選手がピットインを狙っていたのはこの制度が発動したときでした。もしこれがセーフティーカーの出動だったらピットインして逆転優勝を狙ったとインタビューに答えています。

バーチャルセーフティーカーがチャンスになる事態も

バーチャルセーフティーカーがピットインのタイミングを遅らせるF1アゼルバイジャン第4戦のようなケースもありますが、逆にバーチャルセーフティーカーのおかげで3位から首位に浮上した稀な例もあります。
開幕戦のオーストラリア戦がまさにそういったケースでした。首位のハミルトンがピットに入り、それに続いて次の周にベッテルがピットに入ろうとした段階でバーチャルセーフティカーが発動したため、全車が減速しました。本来ならハミルトンが楽に首位に戻れるはずが、ピットの出入りでは全開走行と追い越しが可能なルールによって、ピットロードを全開で飛び出してくるベッテルに対処ができませんでした。
このように新しく導入された制度の導入によって、ピットインに対する駆け引きがさらに面白いものとなりました。

F1アゼルバイジャンGP開催地には直行便が通っていないのでツアーパックで行くのが便利
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現在、アゼルバイジャンへ向かうには直行便がありません。経由地としてモスクワ、西欧、中央アジアなど様々な地点が挙げられますが、どの便が一番安全かつ安価なのかはその時々によって変わりますので、旅行会社が組んでいるF1観戦ツアーを利用することをおすすめします。
F1観戦ツアーと言っても弾丸旅行でただレースを観戦するわけではありません、フリー走行3つと予選、本戦合わせて3日日数があり、余裕を持ってその前日に到着し、終了翌日に帰りの便に乗りますので、観光をする時間は十分にあります。
幸い主催地であるバクー市街はアゼルバイジャンの首都ということもあって観光地としても見るべきところはたくさんあります。ぜひ観戦ついでに歴史と伝統のあるバクー市街を散策してください。

バクー市街の観光名所

F1アゼルバイジャンGPはそのコース自体にも世界遺産がある通り、数々の世界遺産スポットがありますので、レースの合間などに廻ってみるのも良い気分転換になります。
街とカスピ海を一望できる高台の上にあるシャヒドゥラール広場と殉教者の小道は街一番の展望で抜群の眺めですし、屋上から旧市街地が見渡せる乙女の塔やアゼルバイジャン建築の傑作シルヴァンシャー宮殿など、古い歴史を持つ観光地がたくさんあります。
ただし、F1開催期間はコース設置などの安全上の理由で立ち入れなかったり、近くに行けない場合がありますので、訪れる際には地元の観光局などで確認をお願いします。

観光のもう一つの醍醐味は食

F1開催期間、3食ジャンクフードで節約するのも良いかもしれませんが、せっかくアゼルバイジャンという異国に来たのですから、その土地の名物料理を食べてみるというのも旅の醍醐味の一つです。
こちらの料理は土地柄かロシア料理やトルコ料理に近いものが多いです。水餃子に近い見た目のペルメーは、中身の具は香草と羊の肉で、スメトンというヨーグルトに近いものをかけていただきます。
トルコ料理のケバブはドナルという名前で売られていて、マヨネーズやトマトソースを塗ったパンにドナルと香草やトマトなどを挟んでいただきます。街中にいくつものドナル屋さんが並んでいますので、小腹がすいたときなどにも気軽に食べられるストリートフードです。
その他にもポーシュというトマトスープやポロウという炊き込みご飯などがあります。全体的に羊肉とヨーグルトを使った料理が多いのが特徴です。

F1アゼルバイジャンGPは市街地を利用した観光も楽しめるコースです
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F1アゼルバイジャンGPの舞台であるバクー市街地コースは新市街から旧市外の城壁をグルっと回って海岸沿いに新市街へと帰ってくるコースです。セクター1は新市街の中を旧市街まで走る典型的な市街地コースで、直線と90度コースの組み合わせから成っています。
セクター2では旧市街地の城壁イチェリシェヘルの周囲を回り、セクター3は海岸沿いの直線メインで、最もスピードの出る約2.2kmはデッドヒートで盛り上がる区間です。
バクーはペルシャ語で風の街を意味し、その名の通り海岸から強い海風が吹きますので、いかに風の影響を受けないように加速するかもポイントになります。

セクター2は最大の難所

F1アゼルバイジャンGPの最大の難所となるのがセクター2の旧市街地です。北側のシェハマ門近くにあるターン8からターン11にかけてのスラロームセクションは道幅7.6mとマシン1台が通れる程度の狭さですので、いかに正確にコーナーをこなしていくかがポイントとなります。また、ターン14からは下り坂になっており、きちんと減速していないとターン15の出口に接触する危険もあります。
旧市街地の路面は石畳でできていて、F1マシンが安全に走行できるように路面に保護シートを敷いた上に簡易舗装を行って安全にレースが行えるようにしています。これはあくまでもレース期間中の措置で、レース終了後に簡易舗装を撤去して元の状態に戻します。

旧市街地の見どころ

コーカサスのドバイと呼ばれるほど著しい発展を遂げ、F1アゼルバイジャンGPをはじめとした様々なイベントを行っている首都のバクーですが、都市としての歴史は古く、旧市街地には世界遺産に認定されたものも多数あり、今回のコースとなっている城壁イチェリシェヘルもその一つです。一般的に旧市街はイチェリシェヘルの内側と城壁周辺の部分を指します。
新市街の新しく建築された現代建築群とは対象的に、シルクロードの中継地点としての面影を残す旧市街、砂漠色の干し煉瓦による建物が立ち並ぶ路地では中世の雰囲気がそのまま残っています。宮殿やモスク、キャラバンサライといった交易当時の建築物がそのまま残っていますので、どこか中東の街のような雰囲気も醸し出しています。
その一方で外壁やドアの装飾、張り出したバルコニーなど、ヨーロッパのアールヌーヴォーの影響も感じられますので、この街が交易で栄えたことを思い出させてくれます。

F1アゼルバイジャンGPのバクー市街地コースは市街地コース随一の最高速度を誇っています
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F1アゼルバイジャンGPが行われるバクー市街地コースは近年のF1開催サーキットの設計を行っているティルケ事務所が担当しており、開催コースの長さでは2番めの長さの約6kmを周回します。
設計者のティルケは世界最速の市街地コースになるだろうと語っていて、平均速度211km/h、最高速度340km/hと予測されていましたが、初回、まだヨーロッパGPと呼ばれていた回の予選のときにウィリアムズのボッタス選手がF1史上最速記録の378km/hを叩き出しています。最も低速となる第4コーナーが100km/h未満になるなど、高速と低速が入り乱れるコース構成となっています。

クラッシュ必死の波乱のレース展開

F1アゼルバイジャンGPは初開催では7台がリタイヤ、その次の年にも同じく7台がリタイヤするなど、幾度となく波乱のレース展開が行われています。その理由として、市街地コース全般に言える問題ですが、もしコースから外れそうになってもマシンが安全に停止することができるランオフエリアがないことが挙げられます。
また、コースのすぐ横が鉄製のガードレールやコンクリートなどのため、僅かな接触でもマシンが大きなダメージを負ってしまう点や、セクター3のロングストレートが長いことからそれまで温まっていたタイヤとブレーキから熱が奪われ、グリップと制動力が失われる点があります。
また、シーズンが早い時期に行われるため路面の温度も低く、常にシビアなタイヤの温度管理が求められます。

試されるチームごとのセットアップ

F1アゼルバイジャンGPのバクー市街地コースは直角コーナーや狭く曲がりくねった区間などテクニカルなセクターがある一方、1.5kmというロングストレートも兼ね備えており、非常にメカニック泣かせのコースと言えます。
初開催のときはほとんどのチームがテクニカルなコーナーに対応するためダウンフォース量の多いパッケージでレースに挑んでいましたが、翌年以降はテクニカルでスピードを落としてもストレートでトップスピードを出したほうが有利になると考えるようになり、ダウンフォース量の少ないパッケージに切り替えられています。そのため、皮肉なことにストレートに到達したときにスピードが乗っていないので最高速度が初回ほど出せないということになりました。
現在ではモンツァ仕様の特別ウイングとまでは行きませんが、ある程度高速走行向けのダウンフォースを取るところが多くなっています。